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  第91話 『病院ジャック』

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 停電を予想し、患部をじっと見つめつづけて記憶してしまうなんて、さすがのBJといえども、そんな事できるものか。第一、途中で一瞬視線を離してしまっているではないか。視線を戻してから一から記憶のし直か?。
 なんでこんなリアリティのない設定なのだ…。

 と思っていました。
 が、つらつら考えるにどうもそうではないような気がしてきました。

 手塚先生にしてみれば、BJのこの超能力は、先生がいつもやっている事の、ちょっと延長線上にあるだけの、有って当然の能力として描かれたのだと思います。
 それが私には有りっこない超能力に見えただけなのです。

 いろいろな本によれば、手塚先生の驚異的記憶力のエピソードが語られています。
・放映済みのアトムのセル画の山から、必要なシーンだけをささっと抜き出して一本作ってしまった。
・外出先から電話でマンガ原稿の指定をするが、過去のこれこれの作品の何ページ何コマ目で出てきた建物、のように指定をした。はたまた、書棚のこれこれの本の何ページ右上の写真を参考にするように指示した。
・日常のちょっとした何気ない会話を記憶していて、何年もたってから一言一句そのまま引用してみせて、当の会話の相手を驚かせた。
・一度見ただけの風景を、あとから絵に描くことができた。
その他いろいろ。

 さらに、お医者の先生方は、患部の状態を具体的かつできうる限り詳細に文書や言葉で叙述しつくす訓練を受けているそうです(このことを「所見」を述べるとか言ったと思いますが…あやしい)。

 以上を考え合わせて。BJはあの時、患部の状態を彼の網膜に写真的に焼き付けていただけではなくて、頭の中では猛スピードで詳細な所見陳述を繰り返し、さらに、ここを切削すればこうなり、縫い合わせるとこうなり、ハッチンソン操作をすればこうなる、とリハーサルを脳裏で行っていたのだと思います。そう考えればあながちデタラメでもないんですなぁ。
 うーむ。やるなBJ。

(00/12/31)


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